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2007.09.10 (Mon)

【私は、つくね】 私は、家出をする!

第十四話 私は、家出をする!



「もう、家出するーー!」

頭にきて、私は玄関に飛び出した。
玄関のドアを開けようと前足でガサガサするけど
私の力ではドアは開かない。

「つくね、どうしたの」

おかんが、びっくりして私に近づく。
つくね家出1


「もう我慢が出来ない、はやくドアを開けてよ」

私は、おかんに背をむけたまま、
なおもドアを蹴飛ばし続ける。



「かあさん、おとうさん見て見て!
 これは、どう見ても、つくねが家出しようとしているよ」

おかんが、私の異常な行動をみてみんなを呼び寄せている。

「つくねが玄関のドアをあんな風にしたことはこれまで無いことよ」

「おい、つくね、どうした!」

「つくねは、きっとすねているのよ」

「確かに、これはどう見ても家出しようとしている感じだな」

「でも、こんなこと犬がする!」

「いやー、絶対家出だよ」

おとんもおかんもばっちゃんも半信半疑で
玄関のドアをガサガサしている私の様子を見ている。

私は、頭にきているのだ、見世物ではないのに。


今日の昼前、あのやんちゃ娘が家にやってきた。
おもろい顔をした、例のチワワのおはぎだよ。

ちー兄ちゃんが用事で週末出かけるので、
前回同様、一晩おはぎを家で預かることになった。

ちー兄ちゃんは、急いでいたのか、
おはぎを預け直ぐに帰ってしまった。

私なら不安になるところだが、
おはぎにははそんな素振りはまったく感じられず、
身軽な身体で家の中を走り回っている。

日頃、私のゆったりした態度に慣れている家族のものは、
このやんちゃ娘の目の回るような動きには、
全くついていけていない。

「おはぎ!静かにしなさい」

と、おとんは注意するが、おはぎは、気にも留めていない。

おはぎは、私のヘルニア再発防止のために敷かれた
カーペットを蹴散らかして走り回ると思えば、
椅子やソファーを一瞬のうちに昇り降りする。

薬のせいで、カニーヘンから普通のミニチュアダックスのような
体重になっている私には到底真似が出来ない軽業だ。

おはぎが、まだ自分だけがはしゃいでいる間はよかった。
それが、次第にエスカレートして、私を追い回すようになったのだ。

「つくねが、逃げ回っているよ」

おはぎにしてみれば、私と遊びたいだけなのだが、
もう私はこのやんちゃ娘のパワーについていけない。
相手にしないでおこうと思って、おはぎを避けているのが
家族には、私が逃げ回っているように見えるのだ。
失礼にもほどがある。


「おはぎがいるときには、つくねを大事にしないと嫉妬するよ」

と、ちー兄ちゃんが声をかけて帰ったが、
そんなことは家族のものはみんな承知のことだ。

だいたい、私は犬社会に慣れていない。
公園や広場で他の犬と遊ぶようなことが皆無だし、
散歩で、私に近づいててくる犬がいれば一目散に避けて通るだけだ。
相手の犬にしてみれば、仲間として挨拶をしようとしているのだろうが
私は嫌でたまらない。

「つくねは、本当に人間の子供のようなのだから」

そうだよ、家族の言うとおり、私は犬であって犬ではないのだ。

でも、私が犬社会に馴染めなかったのは、私に原因があるのではなく、
おとんやおかんにその原因があると思っている。

よく、公園や広場で犬の飼い主達が集まって
犬同士を遊ばせたりしているが、
おとんやおかんは、そんな人達の仲間に入るのが苦手なのだ。

そんな飼い主達の多くは、結構若い主婦達が多く、
話が合わないのだろう。

トラウマ事件以来、私の散歩嫌いもあいまって、
おとんやおかんは、他の犬と一緒に過ごす機会や経験を
私に積ませなかったのだ。

そんなこれまでの私にお構いなく、
犬であるおはぎが我が家で走り回っている。

1歳にもなっていないおはぎにしてみれば、
いまは何に対しても興味と関心のある時期で
我が家は刺激のある格好の遊び場なのだろう。
それに、おはぎにとって私と言う遊び相手がいる。

そんなわけで、ちー兄ちゃんがいなくても
おはぎは嬉しくてしようが無いのだ。

家の中をはしゃぎまわり、
私に遊ぼうとちょっかいをかける気持は分からないでもない。

「つくねだって、こんな頃は、やんちゃだった」
「そうね、テーブルや椅子の足という足は全てかじったり、
 ボールで遊ぶときはおはぎのように家の中を走り回っていたね」

だから、親というのは煙たいものなのだ。
子供のことは、何でも知っているのだから厭になっちゃう。

私としては、このやんちゃ娘に物静でセレブな私の姿を見せ、
少しはレディらしくしなさいと言おうと思っていたのに。

そのうちに、おはぎは私の後ろから私に飛びついたり、
私の顔をつっついたり、ドンドン調子に乗ってくる。

おとんは、私が嫉妬しないように、

「つくね、つくね」

と言って気を使ってくれているが、
私の目を盗んでおはぎの写真を取りまくっている。

おはぎ訪問


「それにしても、見れば見るほど、
愛嬌のある顔だな。写真になる顔だ」




私には、ちゃんと聞こえているのだから。

「つくねって可愛いね」

と、言いながら、おはぎの写真を撮っているおとんなんか嫌いだ!

それに何さ、おかんだっておはぎが抱きついてくるのが
嬉しくてたまらないのだから。

おはぎ腹かき


おはぎもおはぎだ!
おかんに甘えてお腹を掻いてもらっているなんて。




ここは私の家なんだよ。
おとんもおかんも私のおとんとおかんなのだから。
少しは遠慮しなさいよ。

そんな私の気持ちを逆撫でするように、
おはぎは自分の持ってきた縫いぐるみを口に咥えて
私の目の前で振り回しだした。

故意ではないと思う、そう思いたい。
その縫いぐるみが私の鼻に当たったのだ!

つくね家出2
もう頭に来た!!

私は、玄関に飛び出した。
おとんもおかんも大嫌いだ!

「私は、家出するーーー!」





【後記】

傍若無人なおはぎだったけど、
夜寝るときは、私がおとんと一緒に布団で寝ているのに
一人、真っ暗なリビングで眠っている。
あれだけはしゃぎまわっていたのに、
いまは、ことりとも音を立てずに。

やはり、私は甘えん坊だ。
おはぎは、犬としては普通なのに、
家出をするなどと感情的になったのは、
私が、大人気なかったのだ。

翌日、おはぎがキャリーバックに入れられ
ちー兄ちゃんに連れて行かれるとき
思わず、私もバックに駆け寄った。

玄関のドアが開けられ、おはぎが出て行った。

あれだけ、私にストレスをかけたおはぎだが、
いざ、いなくなると急に寂しくなり、
おはぎの出て行った玄関で一人たたずむ私だった。





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テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学

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