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2007.09.30 (Sun)

【私は、つくね】 私は、どうしてこんな辱めを・・・

第十七話 【私は、どうしてこんな辱めを・・・】


「おい、そこの、にいちゃんやねーちゃん、そこをどけー、邪魔だ!」
(なぜ、関西弁なのか分からないけど・・・・)

うわっー、あれは何だ!
私の目の前を、始めてみる不気味な生き物が横切ってく。

「おかん、あれは、ナーニ?」

人々は物珍しそうにそいつを見ている。

「おい、こちとらは、見世物じゃねーんだ、早くどきやがれー!」

私よりも短足のくせに、何よ、あのしゃべり方と威張りくさった態度は!

「ネー、おかんってば、あれは何なのよ」

先日、横浜鴨居駅近くにこの3月にグランドオープンした
ららぽーと横浜に行った時のことだ。



「つくね、つくね“も”買い物に行こうか」
「良かったね、つくね。つくね“も”一緒だって」

今朝、久しぶりにおとんから“も”の誘いがあった。
久しぶりであろうが何であろうが、私は“も”を忘れることはない

ヤッター!

頭も“も”に即反応し、喜びを表現しろと足や尻尾に命令を出す。

「つくね、おいで」

おとんがリードをつけようとするが、
“も”に反応した私の足は、なかなか止まらない。
もう、嬉しくて嬉しくてたまらない。

最近は、散歩以外に外に連れて行ってもらえたのは、
病院にヘルニアの薬をもらいに行った時くらいだった。

病院が嫌な私に気を使ってか、病院に行く時には、
おとんもおかんも、さすがに私に“つくねも”とは言わない。

今朝は、おとんはちゃんと、私に“つくねも”と言ってくれた。
そのうえ、ばっちゃんも一緒だ。
ばっちゃんは病院に一緒に行ったことは無いので、
もう間違いはない、久しぶりのお出かけだ!

おはぎ並みに飛び回っている私の身体を抑え、
おとんがリードをつける。
こんどは、玄関に向かってまっしぐらだ。

「おとん早くあけてよ、ねえ早くー行こうよ!」

置いていかれないよう、私も必死なのだ。



家から車で10分程で、ららぽーと横浜に着いた。
ここは、370店舗ものおしゃれな専門店が立ち並ぶ
横浜でも最大規模のショッピングセンターだ。
1FはペットもOKなエリアがあるので私も何度か来ているが、
いつも若者や家族連れで大賑わいだ。

ここの専門店の中の一つに、しゃれたペットのグッズを扱うお店がある。
今日のお出かけの目的は、どうやらそのお店で私への買物らしい。

何を買ってもらえるのかな。
期待しながら、広場のほうに向かう。

その時だ、そいつが現れたのは。
そいつの足は、極端に短い。
私は、胴長短足でコンプレックスを持っているが、下には下がいるものだ。
もうほとんど、地面を這って歩いている。
それに、あの歩き方は何だ、超ガニ股ではないか。

あんな不細工なのが仲間にいるのかと思うと
おはぎなんか、おとんの言うとおり、可愛いものだ。
カメ
「あっ、カメさんだ」

子供の声。
うん?カメって何だ、始めて聞く言葉だ。

「わーい、こんな処に大きなカメさんがいる」




近くの子供達が騒いでいる。
大人たちも、この人ごみの中、
そいつが短足ガニ股で悠然と歩いているのを見てさすがに驚いている。

それにしてもまったく、人見知りしないやつだな。
人見知りしないどころか、あの威張りくさった顔は何だ。
ほかの犬は、すぐ美人の私のほうに擦り寄ってくるのに
そいつは、私を無視して見向きもしない。

私は他の犬が嫌いだということは以前に話した。
何が嫌かといって、見知らぬ犬が散歩の時などに
直ぐ私の所にすり寄ってきて私に鼻を近づけてくることだ。
気持ち悪いし、失礼たらありゃしない。

おとんが、散歩の途中で、美人の女性に近づき
鼻を彼女の顔に近づけたらどうなると思う。
バシーッと彼女の手がおとんの顔面に飛んでくるでしょう。

私だって同じ気持ちだよ。
見知らぬやつに鼻を近づけられたら、本当は殴ってやりたいのだけど
家族の手前、我慢しているだけなのだ。

ところが、あのカメとかいうあいつは、どうだ。
私に近づいてこないところは良しとするが、
美人の私に全く関心を示さず無視をするとはたいしたやつだ。

そのうえ、邪魔だからどけと、威張りくさった目をしながら
私の前を通り過ぎていくではないか。

いったい、何なのよ、あいつは、もうむかつくーー!

おかんとばっちゃんは、私の気持ちを知ってか知らないでか、

「つくね、見てごらん、あんな大きなカメさんが歩いている」
「あれはペットだよ、ほら、あの人について行っているもの」

と、のんきに話している。

二人の話を少し聞いていて分かったことだが、
どうやらあいつは犬ではないらしい。

あいつを見たとき一瞬、私より短足の犬がいるのかとびっくりした。
でも残念だったな、もしあいつも犬だったら、
私の短足のコンプレックスも幾分は解消されたのに。

それにしても、子供や他の買い物客に注目されても、
我れ関せずと、短足で悠然と歩いている姿は、見習わねばならないと思う。
少なくとも、私のようにコンプレックスを持っているとは思えない。
今日は、思わぬ勉強をした。





さあ、もうあいつのことは忘れて、
ばっちゃんが私に何か買ってくれるというペットショップに行った。

「ねえ、おとうさん、ダックスがカートに乗っているよ、大丈夫かな」
「そうだよな、つくねがヘルニアになったのは、我々の無知からくる人災だからな」

おとんとおかんは、以前このお店で買ったドックカートに私を乗せて
長時間散歩したことが私のヘルニアの原因だと思っている。
そのため、同じようにカートに乗せられているミニチュアダックスを見て
二人は余程飼い主に注意をしてやりたさそうな雰囲気なのだ。

「でも、変なことをいうと営業妨害かな」

そうだよ、おとんおかん、私がヘルニアになったのは、
確かにこのドックカートに乗せられて散歩をしたからかもしれないけど、
それは、がたがた道の緑道を長時間載せられたからだよ。

おとんとおかんだけだろう、あの緑道をカートに犬を乗せて散歩していたのは。
何回も、カートに乗っておとんとおかんとで散歩したけど、
カートに乗ったほかの犬には出会ったことなかったじゃないの。


幸い私は、快方に向かっているけど、
あのままヘルニアが進行していたらと思うと・・・・。
そういった意味では、私のような胴長の犬にはいくら整備された道でも
ドックカートの長時間利用は注意が必要かもね。

そんな、おとんやおかんや私の心配をよそに、
色んな犬がカートに乗せられ、店内を動き回っている。

”あなた達も用心するにこしたことはないよ”

と、私も一応彼らに注意喚起をしておいた。


さて、ばっちゃんは私に何をかってくれるのかと、店内を眺める。
私の関心を引く洋服やグッズが一杯目に飛び込んでくる。

「おばあちゃんは、こんなハウスのことを言っているの」

おとんは、ばっちゃんに室内用のドックハウスを指差している。
なーんだ、買い物はドックハウスか。
ねーえ、私はこっちの洋服のほうがいいよ!

「ちょっと違う。こう、もっと人間の赤ちゃんを入れておくようなやつ」
「うーん無いな、おばあちゃんの考えているようなものは」

そうそう、私はハウスなんかは要らないの。
あっちの洋服がいいな。

私が持っている洋服は、ばっちゃんの手作りが多い。
私は、寒がりなので、特に手編みの毛糸の服をたくさん持っている。
オーダメイドなので、身体にフィットしてとても暖かい。

何枚か、ミニチュアダックス用の既製服を買ってもらったが
寸足らずだったり、胴周りがだぶだぶだったりしていまひとつだ。

手編み
それに比べ、綿100%の洋服や
純毛の手編みのセータは
身体に馴染み気持ちが良い。
ばっちゃんの愛情を感じる
何よりの贈り物だ。



それなのに、ペットショップでの洋服に目が行くなんて。
ばっちゃんに感謝はしているのだけど私も女性なんだよね。

実用本位のばっちゃんの洋服は有難いのだけど、
たまには、あんなフリルのついた洋服を着て見たいんだ。
私の美しさがもっと引き立たつと思うのだけど。

実は1枚だけ、フリルの付いた既製服を持っているけど
私が、それを着たとたん

「やめとけよ、そんな服はつくねには似合わないよ」
「可愛いいじゃないの」
「いや嫌いだ、その服は」

と、おとんは、自分の価値観や美的センスを押し付ける。
おとんは、自分は美的センスがあると思っている。

おとんは、完全に理系の思考パターンで、
いつも理詰めでものを考える。
こまごまと細部まで考える割りには決断が遅い。

それに比べて、ばっちゃんやおかんは、右脳思考だ。
大局を見極め、大事なところでの決断は早い。
右脳が発達しているためか、
二人とも芸術的創造性があり、絵を描いたり
レリーフを作ったり、色々なものを作るのが得意だ。

そんな違いが有って、1着しかないフリルの服が
私に似合うか似合わないか、どちらのセンスが勝ると思う?

当然おかんのセンスが勝ると思うでしょう。
しかし、不思議なものでそう単純ではないのだ。

おかんは自分が気にいたものが自分に似合うと思っている。
ところが、おかんが自分で買ってきた服をおとんは似合うとほめたことはまれだ。

「なんだ、おばん臭い」

等々、辛らつな批評をする。
確かに、おとんがアドバイスして選んだ服を着たほうがおかんに似合うことが多い。
そのためか、最近は、おかんもおとんの意見に従って服を選んでいるようだ。

となると、私のフリルの服はどうなるのだ。

結論から言えば、おとんのセンスを取りたいのだ。
なぜって、私自身、あのフリルの服は嫌いなのだから。

そんなわけで、せっかく着たお店で、
色々飾ってある洋服にどうしても目が行ってしまう。

抱かれている足を突っ張り、
おかんを洋服のコーナに向かわせようとしたけど二人は私の意志を無視。

何のことは無い、なめし皮の柔らかなピンクの首輪を買い求めた。
ばっちゃんが私を散歩に連れて行くとき、
今の足と胴で支えるタイプではリードをつけるのに時間がかかるためだ。

ばっちゃんは、私の手作りの洋服のほうが、私に似合うと思っている。
おかんの性格はばっちゃん譲りなのだ。
あきらめるしかない。

でも、ピンクの首輪は、私のブラウンの毛に映えて
私の美しさを引き立たせてくれている。
ばっちゃん有難う!


すこし、ウインドショッピングを楽しんだ後、ここもペット同伴可の
ジョーカーズダイニングというお店に入った。

やばい!
私が、犬嫌いなのに、どうだこの店の中は。
ペット同伴なのだから当然なのだが、
飼い主と嬉しそうに一緒に食事をしている犬で一杯だ。

やだよ、こんなお店に入るのは。

「このお店は。一度入ってみたかったの」
「すてきね」

ばっちゃんとおかんは、お店の雰囲気が気に入ったようで、
自分達がセレブなお姫様にでもなった気持ちで悦に入っている。
ただし、何とも年をくったお姫様なんだけど。

それに比べ、おとんはなんとなく泥臭い。
一人浮いている感じだ。
もともと、おとんは、こんな雰囲気で”ランチ”を食べるより、
ラーメン屋でラーメン餃子の”昼食”を食べるのが好きなタイプだ。

そんな、おとんや私のことにはお構いなく、
二人は案内されてテーブルのほうに向かう。

他のお客も夫婦やカップルがほとんどでペットと楽しんで食事をしている。
なかなか絵になっている。
ところが、席に着こうとしたん、またもや驚きだ!

あっ、あれは何だ、あの足の長さは!

前のテーブルに、テーブルよりも背の高い細面の
四足の化け物みたいな犬がいるではないか。

今日は、いったい何の日なんだ。

「かあさん、ボルゾイよ見て」

おかんの指摘でおとんもばっちゃんも振り返る。

「わー、デッケー!」

おとんも、この店に似合わないような驚きの言葉を発する。

店員が、私が座るための椅子を持ってきたが、
なんとその化け物の直ぐ後ろではないか。

冗談じゃない、あんな化け物の後ろに座れるッか。
襲われたら逃げられないじゃない。
もう、半立ちで、おかんに助けを求める。

「つくね、何を怖がっているの。
 ボルゾイはマナーの良い賢い犬だから大丈夫よ」

なんとでも言ってくれ、嫌なものは嫌なんだ。

私は、せっかく店員が、用意してくれた椅子を蹴って
おかんの膝の上に緊急避難した。

おかんの膝の上から、改めて正面にいる化け物を見てみる。

最初は、びっくりしたけど、よく見るとおかんの言うとおり
どことなく気品があり何よりもスマートだ。

胴長短足の私と、何という違いなんだろう。
美人や可愛いねと家族のものにちやほやされていたけど、
本当に、井の中の蛙だ。
世の中には、上には上があるものだ。

おかんもばっちゃんも頼んだ料理を、
ボルゾイに負けまいと、優雅に食べている。
おとんはといえば、ボルゾイとは最初から競う気も無く
ラーメン餃子がメニューに無かったのが残念だという顔をしている。
最後に私だ。
ボルゾイに驚いて、自分の席を立っておかんの膝の上に来たが
私の料理が無い!

他の犬たちは、自分用に料理を注文してもらって
食べているのに、何で私には料理が無いの。
料理

おかんは、私の必死の抗議に

「つくねは、ヘルニアの薬で、
 おデブになったの。
 体重を減らさないと駄目なのよ」

と、私のために料理を
オーダする気は全く無い。




私に料理を食べさせないなら、
こんなペット同伴のお店に来なければいいじゃん。
それなら、おとんが食べたいラーメン餃子で充分じゃない。
おかんが、年取ったお姫になりたかっただけじゃない。

ボルゾイの気品からほど遠い愚痴をぶつける。

ばっちゃんが見かねて、自分の料理皿から味のついていない
パンを少しちぎって私にくれた。

ふん、何で私だけがパンなのよ。
皆な、美味しいものをもらっているのに。

私は、パンを口から吐き出す。
ばっちゃんの好意は受け取れない。

そんなおとんが、ボルゾイたちが店を出たと思うと、
何をおもったのか、お店にあった帽子を持ってきて私にかぶせた。

ウサギ

ばっちゃんがお腹を抱えて笑う。
おかんもセレブらしさを棚に上げ、
一緒になってゲラゲラ笑う。
おとんも、ラーメン餃子のような地を
出して笑いだす。





「もしもしカメよカメさんよ・・・だね」
「さっきのカメと競争だ」

そんな童謡なんか、私は知るわけないでしょう。
どうして、私はこんな辱めを受けなけらばならないの。

私は、ウサギではありません。
ウサギを追うれっきとした猟犬なのに、何よこれは!

みんな、大嫌いだーーー!!





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テーマ : エッセイ ジャンル : ペット

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