2010.06.02 (Wed)
【都筑の風】 大原みねみち公園
大原みねみち公園@都筑の風 2010.06.02
「都筑の森」には大小100ヵ所以上の公園と15kmに及ぶ緑道がある。
大きな公園とそれらを結ぶ緑道の俯瞰図は下記のとおりである。
私の家が茅ヶ崎公園の近くにあるので「都筑の森」を歩き回る場合、
街の中を歩くより緑の多い緑道せきれいのみちに足を踏み入れることが多くなる。
東の方に行けば、せせらぎ公園から早渕公園へ、
北の方に向かえば、茅ヶ崎城址公園から大塚歳勝土遺跡公園へ、
西の方にに行けば、大原みねみち公園から葛ヶ谷公園や鴨池公園、
そしてその先の都筑中央公園と足を延ばせることになる。
今回改めて紹介しようと思うのが、「大原みねみち公園」である。
これまで何度かこのブログのテーマに関連してこの公園を紹介してきた。
「大原みねみち公園」、なにか謂れのありそうな名前である。
港北ニュータウン開発以前はるか昔、今から百数十年前の江戸末期のころ、
当時の茅ヶ崎村に住む岸字作と言う人が、近郊の景観の素晴らしい所を
近江八景になぞらえて茅ヶ崎八景と称したという。
「谷の中の蛍と堅田の落雁」「清水の夕照」「四五六峠の夜の雨」「境田の暮雪」
「正庵の一本松」「大塚の青嵐」「観音の晩鐘」「城山の秋の月」。
港北区役所が発行した「港北百話」の中にこの茅ヶ崎八景の様子が語られているが、
地元の画家が子供の頃の記憶を頼りに描いたと言う絵を元にした挿絵もあって
当時の面影をわずかではあるがしのぶことができる。
注:都筑区は1969年港北区と緑区が分区して誕生。
そのため昔の様子が「港北百話」に記載されている。
私も、この地を終の棲家と決めたからであろうか、
あるいは、孫がこの地で生まれたらせめて彼らの故郷の歴史を話してやりたいと思うので
港北ニュータウンンの開発以前の様子になぜか興味が沸くのである。
この区の図書館から「港北百話」を借りて読んだり、
港北ニュータウン開発前からこの地に住んでいる人達から昔の様子を聞くのが好きである。
「大原みねみち公園」の”みねみち”とは、
この茅ヶ崎八景の中の「四五六峠の夜の雨」として描かれている
四五六峠までの尾根道であろうと言うのである。
確かに、公園の北側は少し小高い雑木林があり、
その中を尾根道らしき小道が通っている。
なるほどと”みねみち”に立って見て、とひとり頷く。
この四五六峠の先には、
これも今は開発でなくなってしまった茅ヶ崎富士があったと言う。
茅ヶ崎富士も都筑区内の山田富士や川和富士あるいは池辺富士と同様、
江戸時代に盛んになった富士講の人々で賑わったのであろう。
その茅ヶ崎富士への行き来にこの”みねみち”が使われていたと思うと
一瞬当時にタイムスリップしたような気になるのも不思議である。
いまは、この”みねみち”を行くと、大型マンションにたどり着くが、
この尾根みちがマンションの人達の生活道路の一部になんているのだから贅沢極まりない。
注:茅ヶ崎富士があった場所は、上記の大型マンションの中の一つ、
クレストヒルズの前の道路辺りになるという。
(みねみちの先に続くマンションの斜面緑地)
「大原みねみち公園」は、その北側が”みねみち”、
南側が緑道せきれいのみちで間に細長い池のある公園である。
(写真の左の道がせきれいのみち、右側の小高い丘がみねみち)
”みねみち”のさらに北側にはいわゆる公園としての広場があるが、
もっぱら近所の人の利用が主で「大原みねみ地公園」といえば
趣のある東屋と数脚の小橋を持つこの細長い池の周囲を思い浮かべる人が多い。
この公園は、せせらぎ公園の池のような広さはないし、
一休みするためのベンチもないせいなのか通り過ぎる人がほとんどである。
ただこの細長く狭い池であるためにカワセミが真近に見ることができる為
写真を取る人に絶好のシャッターポイントとして知られている。
かく言う私も一時期この公園に来てカワセミを追いかけた一人である。
カワセミのようなスターが姿を見せない限りは、
近所の親子達が水辺で遊ぶ憩いの場所である。
港北ニュータウン以前の大規模ニュータウン開発や都市の近郊での乱開発により、
開発前にあった多くの緑が失われた。
それが都筑区では、奇跡的にとも言える豊かな緑が残った。
区内の大きな公園には昔の里山の面影が残り、
いまこうして「大原みねみち公園」のような公園でも
昔の”みねみち”の面影が保存されている。
自らが、終の棲家と決めたこの地の昔を知り、
いつかこの地で生まれ育つ孫達に”ふる里”の歴史を語りたい。
豊かな自然を残してくれた先達に感謝をし、
微力ながら自らもこの自然の維持保全に協力しながら。
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