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2007.11.13 (Tue)

【私は、つくね】 私は、[も」を聞くまでは

第二十二話 【私は、「も」を聞くまでは】


「つくね、下りるよ」
   ・
   ・

「つくねったら、おいで!」
   ・
   ・

おとんの声が少し高くなる。

いま私は、2階の階段の踊り場で、
おとんが下に降りようと言っているのを無視している。

おとんの服装は、ジーパンの外出スタイルだ。
おとんとおかんは、これから外出する気だ。

なのに、私を連れていく気がない。
だって、おとんがいくら声を高くしていても
私の期待する「も」を言ってくれていない

「つくね、良い物あげるから、おいでったら!!」
   ・
   ・

私は、いまは、良い物はいらないのだ。
欲しいのは「も」の言葉だけなのに。

私も連れて行って




おとんもおかんも、私を2階に置いたままでは外出できない。
それが分かっていての、私の実力行使だ。
私は、「も」を言ってくれるまでは、
今日は絶対下には降りないから。


最近、おとんとおかんは余り私を外に連れて行ってくれない。
たまに、おとんが散歩に連れて行ってくれるけど、
そのときはおかんは家にいる。

「あれ、つくね、もう帰ってきたの」

おんがあきれた声を出している。

「つくねは、どうして散歩が嫌いなのかな」

私は、おとんとおかんが一緒なら散歩も楽しいのだけど、
どちらか一人のときは、どうしても小さいときのトラウマがあるため
家が見える範囲しか動き回りたくない。

おとんとおかんは、週末、都筑区の緑道を2~3時間かけて散歩する。
散歩というより健康管理のためのウォーキングに近い。

今度、移ってきた都筑区にはいくつもの公園が点在し、
その公園を結んでいる緑道という自然あふれる地道が、
16kmにもわったって存在する。

緑道の両側には桜や紅葉を初めとする様々な木々が植わっていて
正に緑の道なのだ。
それら緑道は、”せきれいの道”とか”ささぶねの道”とか
それぞれ名前が付けられていて、休日になると、
多くの人がジョギングや散歩を楽しんでいる。

茅ヶ崎公園の秋



おとんもおかんもおにーちゃんも正直なところ、
家の周りの環境が良くて、ここに移ってきたのだが、
都筑区全体が、これほど都会と自然が融合した地区だとは
散歩やウォーキングをして初めて気が付いたのだ。

私も、ヘルニアになる前は、

「つくね”も”散歩に行くよ」

という声が、おとんやおかんから、ウォーキングのたびにかけられ
春夏秋冬それぞれ違いを見せる緑道を歩くのが楽しみだった。

おかんは、最初歩き出した時は、私同様30分も歩けばバテていたが、

「年を取ってから何が大切かって足腰が丈夫なのが一番だよ」

という、おとんの持論に屈し、毎週末になるとおとんに引っ張りだされた。
それが今では、休憩なしで2~3時間もの長時間、
ウォーキング出来るようになったのだから大したものだ。

おとんとおかんはウォーキングの間、
色々なことを話しながら歩き続ける。
この自然環境が、おとんやおかんに癒し効果を与えているのは間違いない。
おとんとおかんが、仲良く笑顔で歩いている姿を見るのは
私にとっては、この自然環境と同様大切な安らぎを与えてくれる。


本当はいけなのだろうが、おとんとおかんは、
緑道ではリードをはずして私を自由に歩かせてくれる。

私がおとんやおかんの周りをうろうろしたり、
時には道草をくい、置いてきぼりになって
あわてて駈け出したり楽しいことこの上ない。

おかんのあとに



そうして歩いている時、時々おとんとおかんは、
私の鼻の効きが悪いことを承知のうえで意地悪をするときがある。
私が、道草を食っている隙に、おとんがかくれんぼをするのである。

「つくね、お父さんは」

私は、おかんの声ですぐに頭を上げたが、
おとんの姿がどこにも見えない。
あれれー、いままで一緒だったのに。
おかしいな、おとんがいない。

おとんはどこ



私は、犬のくせに本当に鼻が悪い。
小さい時から、ぜんそく持ちで、しょっちゅう鼻 が出るのである。
美人が台無しだ、とおかんが嘆くが、こればかりはしょうがない。

普通の犬なら、さっきまで一緒だったおとんの臭いをかいで、
すぐにおとんを見つけられるものだが、私は駄目なのだ。

また、目もそんなによくないので、おとんが意地悪して
どこかに隠れてしまうともうお手上げだ。

「つくね、お父さんは何処に行ったのかな」

おかんまで一緒になって、私の不安を掻き立てる。

「つくね、お父さんを探してよ」

私は、効きの悪い鼻にめい一杯空気を吸っておとんの臭いを探す。

駄目だ!
おとんの臭いがわからない。

視線の少し先に、人が歩いている。
おとんかどうかは分からない。
でも、もう走るしかない。

短い足で、必死に先を行く人を追いかける。

「つくね、違うよ、お父さんはこっちだよ。
戻っておいで!」

今度は、おかんが驚いた。

私は、耳だけはよいので、おかんの声でその場に立ち止まり
おかんにたずねる。

おとんはどこ2





「違うの、それならおとんはどこ」

わたしは、首を傾けておかんのほうを見つめる。
おとんが、そんな私の不安げな様子を見かねて

「つくね、ここだよ!」

と声を上げる。

かくれんぼ1





「あっ、おとんの声だ」

目も鼻も余り効かない私だが、おとんの声はしっかりと分かる。
姿が分からないまま、声のしたほうに駆けだす。

「つくね、つくね」


かくれんぼ2



ようやく、おとんの姿がとらえられた。
もう、おとんは嫌いだ!
私は、おとんのところに一目散に駆け寄る。

「つくね、よかったね」

おかんが、笑いながらおとんと私のほうに寄ってくる。
おとんから頭をなぜてもらい、私もほっとする。

もう、おとんもおかんも意地悪しないでよ!
今度は、絶対私がかくれんぼをして
おとんとおかんをおどろかしてやる。

私は、鼻の悪いことをいいことに、
ウルウルしそうになった気持ちをごまかした。

ウルウル



こんな味わいたくないハプニングを味わい、
おとんとおかんと一緒の散歩が続く。


おかんは、毎週末の散歩で歩く時間を徐々に延ばし
ウォーキングとよぶほうがよいくらい歩けるようになったが
短足の私には、当然、長時間のウォーキングは無理だ。

おとんもおかんも、そのことはよく分かっていて、
しばらく私が歩いて、疲れてきそうだと、抱っこをし、
私が、また歩きたいと意思表示をすると歩かせてくれる。

カニーヘンで、体重が4kg以下と言っても、
2時間から3時間のウォーキングで、
その間のかなりの部分、私を抱っこをするのは
二人にとっては相当疲れるようだ。

とくにおとんは、もともと腰痛持ちなのに、
おかんに負担をかけないように、なるべく自分で私を抱こうとする。

何回か、私を素手で抱っこをしていたが、
やがて、キャリーバックに入れて肩にかけると楽なことがわかり、
それ以降は、キャリーバックに私は入れられ、
緑道のウォーキングのお伴をすることになった。

キャリーバック



ところがあるとき、おとんとおかんがLaLaポートで
他の犬がすました顔で、キャリアカーに乗っていたのを見て、

「ねー、お父さん。
つくねもあれに乗せて散歩すると楽と思わない。
 あなたの腰にもいいし」

と、私用のキャリアカーに関心を持った。
小さいことに長いこと悩むおとんも、このときは意外に早い決断で、
おかんの提案にのった。

キャリーバックに私を入れてのウォーキングは、
やはり腰痛持ちのおとんには、相当こたえていたのだろう。

これが、私のヘルニアを誘発するとは、
その時はおとんもおかんも分からなかったのだ。


「つくね、よかったね!」
「つくね、楽ちんだろう」

それからは、おとんとおかんは、私をキャリーカーに乗せ
緑道の地道を何時間も一緒に歩くようになった。

ところが、この地道が曲者だったのだ!

私も、キャリアカーの中では、
伏せをして乗っていればよかったのだが、
楽しい散歩のひと時、おとんやおかん同様、
緑道の豊かな自然を満喫するため
前足をキャリーアカーの先に乗せ
後足だけで立つ姿勢をすることが多かった。

この姿勢と、緑道の地道からくる震動が
私の背骨に疲労を与えることになったのだ。

何回か、このキャリアカーで散歩した後、
ある日突然、私は腰に痛みを覚え、
急遽病院に駆けつけることになってしまった。

そのへんの事は、以前に話した通りだ

その後、おとんとおかんの必死の介護の甲斐あって
私は、ほぼこれまで通りの生活が出来るまでに身体が直ってきた。

人間のみならず私も、ずいぶん勝手な生き物なのかなと思う。
あれだけヘルニアで思うように歩けなかった私なのに、
最近身体か元に戻ってくると、その時のつらさと
おとんやおかんの親身になっての介護を忘れた行動に出るのだ。


おとんやおかんが最近私を外に連れて行ってくれないと
私が文句を言うようになってきているのだ。

おとんもおかんも、私のヘルニアが自分たちの無知で
引き起こしたのかと思っており、以降、細心の注意を払って
私をケアしてくれている。

私を一緒に車に乗せて外出するのも極端に控えているのもそのせいだ。

それなのに、私は、最近おとんやおかんが
私をどこにも連れて行ってくれないと文句を言う。
本当に勝手だと分かっていても、
もう身体がなんともないのでどうしてもわがままになる。


「面白くなーい!どこか連れて行ってよ!」

おとんとおかんが外出しようとするとき、
しつこくおとんの足元にまとわりつき、
尻尾も最大限に振って私の気持ちを伝える。

それなのに、おかんは、

「お父さん、早くつくねに言い!」

と、もう私を置いていく考えだ。

私は、それでもおとんの気持ちを変えるために
必死におとんの目を見つめ訴える。

「おとん、おかん、ネー連れて行ってよ」

でも、最近は、私の必死の訴えにもかかわらず、

「つくねは、お留守番」
「つくね、行って来まーす」

と連れない返事が返ってくる。


もう知るかー!

私の態度は一変する。
それまで、めい一杯振っていた尻尾は一瞬にして垂れ下がり、
おとんやおかんを見つめて訴えていた瞳はうつろになり、
トボトボとハウスに向かう。

ときには、おとんやおかんが分からないよう、
洗面所やおにーちゃんの部屋に行ったりして最大の抗議行動をとる。
もう完全に”拗ねのつくねパターン”に突入だ。

最近は、本当に私は留守番が多い。
そんなことが分かっているので、
おとんが下に下りようといっても
そう簡単に言うことが聞けないのだ。

「つくね、下りるよ」
   ・
   ・
「つくねったら、おいで!」
   ・
   ・
おとんが、私の洋服を引っ張って私を下に降ろそうとする。

「も」を聞くまでは、実力行使あるのみだ!

実力行使











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テーマ : 日記 ジャンル : ペット

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