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2011.03.01 (Tue)

【その他】 ”まぐろ一匹”を注文する

     
”まぐろ一匹”を注文する




「ぼくは、せっかくだからこの”まぐろ一匹”を注文するよ」


”まぐろ一匹”を注文するなんて一生のうちにまずないことである。

今年の築地でのマグロの初競り、一番の大物の値段が何と3249万円である。
そこまではいかないまでも、なにせ”まぐろ一匹”である。
それ相当の覚悟は必要である。

まして私は現在は年金生活の身の上、清水の舞台から飛び降りた気持ちで注文したのに    
義母や嫁さん達は少しも動じないのである。

山内一豊の妻ではないが、さすが女性と言うものは太っ腹である。
いざという時のために備えているのだろう。


朝食を終え、久しぶり腰痛防止に癒しの湯にでも行こうと思っていると
嫁さんが部屋にやってきて、

「母さんが三崎に行くって」

と伝えに来た。

昨夜、義母に気分転換に何処か行くかと話をしていたが、
その時は余り乗り気ではなかった三浦半島の三崎、
今朝の暖かな日射しを見て急に行く気になったらしい。

なにせ神の声である、私の温泉行きは当然中止となる。

三崎と言えばマグロである。
せっかく行くのだから、マグロの水揚げされる市場も見て見たい。
毎度のことだが、バタバタとWEBで調べにかかる。

下ではつくねがトイレを済ませ走り回っているという。
せめて昨夜のうちに行く決心をしておいてくれれば、
ちゃんと準備をしておけたのに、と言っても詮無いことである。

何とか人気のお店を探し終え、家を後にする。

港北ニュータウンは、電車で移動するには不便だが
車での移動はいたって便利が良い。

港北ICから横浜横須賀道路の衣笠IC経由で三崎まで1時間弱で着いてしまった。
三崎漁港の駐車場に行くと、なんと大型観光バスがずらりと止まっているではないか。


まぐろ一匹1


「すごいね、今日は平日だよ、三崎ってやはり有名なところなんだ」

私も、この観光バスの数には驚いた。
海鮮市場の前には大勢の熟年おばさん達がたむろしている。


まぐろ一匹2


駐車場に車を入れ、我々も“熟年”の一行に仲間入りである。

義母は、大型スーパよりこうした所謂”市場”の雰囲気が好きである。


まぐろ一匹3


威勢の良い売り子のおばさんが義母と嫁さんに声をかける。
日頃買い求めているスーパと違って、対面販売は熱気がある。

「あなたもお酒の肴にマグロを買って帰ったら」

と嫁さんがす勧めるが、私には思うところがあるので、買って帰るのは遠慮をする。
ここにはマグロの柵はあっても”まぐろ一匹”は見当たらないのである。

義母と嫁さんは、それぞれ自分の好物を見つけ海鮮市場を後にする。

”まぐろ一匹”を注文しようとするならば、
本来ならば所謂水揚げをする市場に行かねばならないが、
もう昼時で朝早い競りは当然終わってしまっている。

しかし、ここはまぐろの三崎である。
マグロの柵ではなく”まぐろ一匹”でなければならない。

競りで競り落とさなくても”まぐろ一匹”を注文出来る所を
出がけにWEBでちゃんと調べておいたのである。

急いで家を出たので、リードを忘れたが、
自分も”まぐろ一匹”に出会えるものと思っているのか
つくねは暖かな日差しの降り注ぐ港の広場で動き回っている。


まぐろ一匹4a


しかし、これから”まぐろ一匹”と格闘しなければならない、
可哀想だがつくねは車の中でお留守番である。

WEBで調べておいた”まぐろ一匹”と格闘できる店,
割烹旅館立花本館に向かう。


まぐろ一匹5


時代がかった5階建ての木造の建物。
たくさんの人達が暖簾の中に吸い込まれていく。

なに!彼らも”まぐろ一匹”を求めて行くのだろうか。
世の中不景気だというのに、お金は有るところにはあるものらしい。

私なんかは、義母や嫁さんに”まぐろ一匹”を注文するなんて一言も言っていない。
現役リタイヤーの我が身としては、繰り返しになるが、
清水の舞台から飛び降りる決死の覚悟できているのである。

その時が刻一刻近づいている。
呼吸が乱れているが、義母や嫁さんには気付かれている様子はない。

玄関を入り、格闘の場に案内されようとするが、
時代がかった本館故なのか、急な階段を3階まで上がらねばならないという。

足の弱くなった義母にはこれはきつい。
私が”まぐろ一匹”を注文する前に、
私の代わりに義母が清水の舞台から落ちてもらっては大変である。

こんな急な階段が目の前に立ちはだかっているのは、
これは、”まぐろ一匹”は、私には分不相応と言っているのだろう。

私が立ちすくんでいるとお店の人が、

「別館は1階にテーブル席もあり同じ物が注文できますよ」

と、私の心の動揺を見透かしたように声をかけてくる。

嫁さんは、私の気持ちなんか知る由もなく、
義母のことを考え別館の方に行くという。

別館でも”まぐろ一匹”が注文できるなら別館でも構わない。
それより、早くこの胸の鼓動を何とかしなければならない。

急いで別館の暖簾をくぐる。

「いらっしゃいませ」

本館に比べれば小じんまりした店構え。
本館同様に二階に上がれるのだが、一階の2席しかないテーブル席を選ぶ。

”まぐろ一匹”と格闘するには少し狭いのではと感じたが、
何か工夫があるのだろう。
身が引き締まる思いでその時の来るのを待つ。

「ご注文は何にしますか」

いよいよ来た!

私はWEBで調べてきた”まぐろ一匹”意外には考えられない。
なにせここはまぐろの三崎なのである。
まぐろの本場なのである。

義母も嫁さんもまだ私が何を注文するか気付いていないので
いたって穏やかにメニューを見ている。

二人とも思い思いの品物を注文する。

「あなたは何にするの」

ついに清水の舞台から飛び降りねばならない。

「ぼくは、せっかくだからこの”まぐろ一匹”を注文するよ」

あー、清水の舞台からいま正に落下し、空を舞っている様な心境である。

それにしても、テーブルの上には、
大きなまな板もなければマグロ切り包丁もない。

そうか、ずぶの素人の目の前に置いては危ないと気づかいなのだろう。

やがて店の人がおもむろに”まぐろ”の写真を持ってきた。
”まぐろ一匹”の説明をするというのだ。


まぐろ一匹6


「ここが、マグロの心臓でして、ここが胃袋です、・・・」

もうそんな説明なんかは良いのだ。
早く実物を確かめたい。

そんな私の気持ちなんか無視して、まだ説明が続く。

「これは、ここ三崎でしか味わえない”はち”といってマグロの頭の部分です。
 ここは、尾びれの根っこの所で”梶取り”と言うところです。
 このマグロの胃袋なんかも珍味ですよ。
 卵もなかなか食べれませんよ。」

もう説明は良いから早く”まぐろ一匹”とマグロ包丁を持ってこい。
私がマグロ包丁で立派に調理するから。

やがて待つこと10分ほど、
”まぐろ一匹”がお盆に載せられてテーブルに運ばれてきた。

お盆に乗って?

何で”まぐろ一匹”がお盆に乗るのだ!

しかし、間違いなくこれが”まぐろ一匹”のようだ。

私の動機が収まる。
やっと”まぐろ一匹”を目にしたのだ。


大きなまな板も、マグロ切り包丁も必要なさそうである。

ものの見事に”まぐろ一匹”が調理され“お盆”の上に乗せられているではないか。


まぐろ一匹7


これならば築地での初売りのまぐろの3249万円まではしないが家長と大蔵大臣同伴である。
なんとか清水の舞台から飛び降りなくても”まぐろ一匹”は食べれそうである。

それでも、間違いなく、これまでの長い人生で
始めて口にした、まぐろ全体の“部位”である。


まぐろ一匹8   まぐろ一匹9
       (”胃袋”と“心臓”)               (”梶取り”と”皮”)

まぐろ一匹10   まぐろ一匹11
       (”ほほ肉”と”角煮”)                 (”たまご”)

まぐろ一匹12
(左から、”はち(頭)”、“中トロ”、“赤身”)



注文したのは、”まぐろ一本”ではなく”まぐろ一匹“コースという料理であった。

義母にも嫁さんに、初物のおすそ分けをする。

人生、長生きはするものである。


(参考)
割烹旅館 立花 HP 

マグロは、海で泳いでいるときは”一匹、二匹”と数え、水揚げされると“一本二本”と数えるそうである。




  
                                   【都筑の風】目次



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テーマ : 日々のつれづれ ジャンル : 日記

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*Comment

おはようございます
私も三崎で お店は違いますが
マグロの珍味 頂きました
出かけた先で 地のものを食べる・・・っていいですよね
クレラルン |  2011.03.01(火) 08:24 |  URL |  【コメント編集】

■はじめまして

いつもお邪魔しておりましたが初めてコメントさせて頂きます。
マグロ一匹というタイトルと記事で私もドキドキしました
一匹コースでしたかー三崎はマグロで有名ですが観光バスまで来ますか?
わりと近いですが行った事ありませんでした。
是非今度マグロ一匹コース食してみたいです
お義母様も優しい息子さんで幸せですねー
ククのいくこ |  2011.03.01(火) 11:27 |  URL |  【コメント編集】

クレラルン さん

私の知り合いの男性で旅に出るたびにその地のグルメを食べるのを
楽しみにしている人がいます。
私なんかは全国の温泉巡りをしているのに、
観光やグルメはそっちのけでただ温泉に浸かっては次の所に行って
しまうタイプ。美味しいものはやはり大蔵大臣同伴の時が一番です。




ククのいくこ さん


コメントありがとうございます。
こちらこそいつも読み逃げばかりで済みません。
マグロ一匹、いくら我が家の大蔵大臣でもちょっと手が出ませんね。
せいぜいコース料理を頼み、”一匹”の部位をちょこちょこ食べるのが
精一杯のところですv-8
お近く出したら、天気のいい日城ケ島観光も兼ね”一匹”の珍味を
口にするのもいいですよ。


   都筑の風@横浜




 |  2011.03.02(水) 09:48 |  URL |  【コメント編集】

落ちはある きっとありそうだ
と覚悟してはいましたが

そうですか
やはり動揺を見せなかった女性には
人生で身に付けた「生活感覚」がありましてね
マグロ1本ん百万ん千万とは思っていないのです

1匹のいろんな部位ねー って理解していますね

それにしても@横浜さん 財産なげうつつもりでした?
クレジットカードで支払おうと?
みんこ |  2011.03.02(水) 10:56 |  URL |  【コメント編集】

みんこ さん


私の財産は、たとえまぐろ一匹でも一本でも注文しようが
微塵も揺るぎません。
全ては嫁さんが支払いますのでv-9
嫁さんが全て我が家の財産を独り占めしていて
私は雀、いや蜂の涙ほどの小遣いで糊口をしのいでいるので
減らすほどの財産がないのです。
女は歳をとればとるほど強くなりますね。


  都筑の風@横浜

 |  2011.03.02(水) 12:00 |  URL |  【コメント編集】

 はい、また騙されました。
でも奥さん、義母さまとのドライブでおいしいものを食べるなんて羨ましいですね。ところで、このマグロ一匹、黒マグロかメバチかビンナガかキハダか、はてどうなんでしょうね。
 何年か前、大間へ旅行した時、地元で釣り揚げられたマグロのトロの刺身を注文したら、たった7切れくらいで4700円。女房に「アホ!」と怒鳴られました。今も根に持っています。
森に暮らすひまじん |  2011.03.02(水) 12:03 |  URL |  【コメント編集】

森に暮らすひまじん さん


騙されて頂いて騙した方は本望ですv-8
でも一番はメニューを作ったお店の作戦勝ちですね。
大間の7切れの本マグロとは違い、メバチマグロの部位をほんの少しずつ
小鉢に入れたコース料理が3500円。仕入れ値がいくらなのかはわかりま
せんが。
それにしても7切れで4700円の刺身、奥さんでなくても驚きますね。


  都筑の風@横浜


 |  2011.03.03(木) 08:33 |  URL |  【コメント編集】

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