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2007.12.22 (Sat)

【一人旅】 六の一 神の芸術品”神威岩”

第六章 北海道の自然
 
 六の一 神の芸術品“神威岩“           八月四日



 『汗が引き 鳥肌立ちし 神威岩
                 神が作りし 芸術品』

 『先達の アイヌの人の この岩に
                 かける思いは 今も変わらず』


お父さん達は、夏の北海道に、どんなイメージをお持ちですか。

抜けるような澄み切った青空、見渡す限り続くグリーンの牧場、
色とりどりに咲き乱れる草花・・・・。

しかし、今年の北海道は、そんな景色が何処に行けば巡り合えるのか、
と首をかしげたくなるくらい、天候が不順なのです。

 「それは、お前の日頃の心がけが悪いからだ。
  まして俺達がこの暑いさなか、汗水たらして働いているとき、
  一ヶ月以上も北海道に遊びに行くからだ」

きっと、そう言うと思いましたよ。
しかし、今年北海道に来ている旅行者が全て、
お父さん達の言うような、
心がけが悪い人達ばかりではないでしょう。

そんな反論をしたくなるほど、
私が北海道に来てからは、雨や曇りの日ばかりなのです。

私のような、温泉巡りだけを目的に北海道に来ている場合、
この不順な天候でも、温泉そのものに入るには
さしたる影響は受けませんが、観光目的に来ている人は、
泣くに泣けないと思いますよ。


 「お前、人生晴れの日もあれば雨の日もあるさ。
  まだ残り二十日以上もあるのだろう。
  そのうち天気も良くなるよ」


おや、どういう風の吹き回しですか。
お父さん達からそんな慰めの言葉を頂くのは初めてではないですか。

 「俺達だって、お前の“夜の海”や“車中泊”の
  暗い話ばかり聞かされていると、気分がめいるからな。
  たまには、快晴の大自然のなかでの明るい話を聞きたいからさ」


ありがたいですね。
素直にお父さん達の気持ちを受け取っておきます。

それにしても、数多くのガイドブックや旅行のパンフレットの一つくらいに、
雨の北海度な紹介があってもよさそうなものですが。

たとえば、
 
 “仕事に疲れたあなた、雨の北海道が待っています。
  寂寞とした自然があなたを虚無の世界にいざないます”

でも、虚無の世界にいざなわれ、
交通事故でも起こされたら大変ですが。


お父さん達の思いやりが通じたのか、
旅行に出て十二日目で、初めて朝から快晴の日なのです!

いつもなら、朝食のパンをかじりながら、
今日一日の温泉巡りの概略スケジュールを立てるのですが、
なにせ、この吸い込まれるような青空です。

温泉巡りはお父さん達に任せ、
私は、一般の観光客に成りきり、
北海道の大自然を満喫することにしました。

これが、“身勝手一人旅”の良いところなのです。

こういうときもあるかもしれないと思い、
普通の生活道具”以外に一冊だけ持ってきた
旅行用の観光ガイドブックを取り出し、
現在地周辺の観光スポットの調査です。

今回の旅行で、最初に北海道の地を踏んだ大観光地函館でも、
温泉を三ヶ所巡っただけで、
観光スポットは一切立ち寄らずに通り過ぎた私です。

そのため、持参した観光ガイドブックを開くのは、
実は今日が初めてなのです。

でも、さすが観光立国北海道、
この近辺にも、ありましたね観光名所が。

 “ロマンチックな港町小樽。
  夕暮れ時には、運河のほとりにガス灯がともり、
  エキゾチックムード満点”

 “青い海と豪快な岩々が、波間に並ぶ積丹半島”


さあ出発です。
“身勝手一人旅”の朝は早いのです。
まだ六時過ぎ、ガス灯がともるエキゾチックな小樽は、
帰り立ち寄るとしてまずは、積丹半島へ。

毎日、二三百キロは平気で走る私にとって、
数十キロ先の積丹半島はちょっとした寄り道感覚です。

車の窓を開け放ち、ランニングシャツから伸びた
すらりとした腕を軽く窓枠にのせ、
カーステレオから流れる永ちゃんのロックを聞きながら、
さっそうと海辺を走る若者。

 「おいちょっと待て、余り調子に乗るなよ。
  “若者”とは、どこのどいつだ」

当然私ですよ。
こんな気分のいい日に、永ちゃんのロックに合わせ、
ハンドルを指でたたきながら車を走らせる私は、
誰が見ても若者に見られますよ。

車の中でカラオケの練習のため演歌を歌っている父さん達とは、
気持の上でも差がありますね。

 「演歌の何処が悪い!
  何がロックだ、何が永ちゃんだ」

お父さん達、永ちゃんって知っているのですか。
彼は、我々とそう年が違わないのに、あのエネルギーですよ。
すごいと思いませんか。

私の嫁さんは、あの年でなんだか恥ずかしいと言っていますが、
見習うところは多いと思いますよ。
少なくとも、気持ちだけでも彼のように、
いつまでも若くありたいですね。

 「ところで、お前、ちょっと聞くけど、永ちゃんって誰だ」

もう、奥さん達に聞いてみてくださいよ。

そんな、オジン臭いお父さん達は無視して若者は、
紺碧の海の潮風に髪をなびかせながら、車を走らせるのです。

 「俺達には、なびくような髪の毛は無いのだ」

もう、無視。


波打ち際まで迫る断崖。
どれだけの年月がかかって形成されたのか分かりませんが、
見事な造形美を作り出す奇岩の数々。

その中でも、積丹半島の先端、
神威岬にある神秘の岩“神威岩”には、
鳥肌が立つくらい、ただただ、感動あるのみでした。


ここが北の地という思いがあるためなのか、
それとも先住民族アイヌの人達の痕跡が
色濃く残る独自の地名がそう感じさせるのか、
本州の半島の岬とは一味違った思いを抱かせます。

この“神威岩”は、ガイドブックの“絶対お勧め”
というPRに乗せられて出向いたのですが、
なにせ岬の本当の先端の先端にあるため、
車でいけるわけが有りません。
1時時間弱の道のりを歩かねばなりません。

私の“身勝手一人旅”の対象となっている温泉は、
そのほとんどが、宿の玄関先まで
車を乗り入れることが出来るところが多いので、
温泉巡りと運動とは無縁な世界でした。

そのため、リュックを背負い
何時間もかけて歩いていかなければならないような、
本当の秘湯は、まだまだ未入湯の温泉として、
私のリストに残っています。

今回の北海道の温泉巡りも例外では有りません。
そのため、北海道に着てからの十二日間は、
車を運転しているか、温泉に浸かっているかの生活ですから、
完全に運動不足のはずです。

しかし、短パンルックにスニーカという“若者”風の私は、
そんなことは、すっかり忘れており、
他の観光客と一緒に、歩き出しました。

結果は直に現れました。

十分も歩かないうちに、
心臓はパクパク、足はがくがくになってしまったのです。

 「何が永ちゃんだ、何がロックだ。何が若者だ。
  自分の年を考えずに格好をつけているからだ」


本当にそうかもしれません。
たかだか、十分も歩かないうちに、
心臓麻痺を心配しなければならないくらいに、体力が無いのです。

何回も“神威岩”に行くのをやめようか思いました。
でも、こんな時に限り、お父さん達を含めた、
我々の年代の特徴である、頑張りと負けん気が頭を持ち上げるのです。

 “ここまできて、途中で引き返すのは情けない”

と、汗を拭きながら岬の先端に足を進めるのでした。

しかし、岬に向かって歩いているはずなのに、
なかなか海が見えてきません。

まだ朝が早いためか、岬から戻ってくる観光客に出会うことが無いので
あとどれくらいかかるのか聞くわけにも行きません。

周囲の熊笹の中から時々鶯の鳴き声が聞こえてきて、
私を励ましてくれます。

心臓発作も起こさず、何とか一時間弱歩いて、
灯台と海の見える小高い丘の上にたどり着いたのですが、
何も感激するような景色ではありません。

これまでの温泉巡りでも、
色々な雑誌等で素晴らしい温泉の写真が掲載されていて、
ここは絶対に“身勝手一人旅”でも訪れたいと思い、
期待して訪ねて行っても、裏切られることが度々ありました。

今日のこの神威岬も、“絶対に訪れるべき”
というガイドブックのPRに薦められやってきたので、
またか、という思いが頭をよぎりました。

温泉の場合は、たとえ期待はずれでも、
入浴ポイント数だけは稼げるのでまだ救いがありますが、
なにせめったにやらない観光、
しかも、心臓パクパク、足はガタガタでここまできたのですから、
何も無いでは困るのです。

岬の先端の灯台の所まで来ても状況に変化は有りません。
ところが、信じがたいことが起きたのです!

灯台か数歩先に行った、もう足元は地の果て断崖絶壁、
という正真正銘、猫のひたいくらいのところに出た瞬間、
感動の余り、全身の血が逆流し鳥肌が立ったのです。

数メートル手前では見えなかった、
“神の宿る岩”としか表現しようの無い“神威岩”が
目に飛び込んできたのです。

この瞬間の感動は、一生のうちそう何度も無いのではないかと
思えるくらいのものなのです。

正直、心臓麻痺が起きてもおかしくないくらいの興奮が、
全身を稲妻のように突き抜けました。


紺碧の海、ライトブルーの空、真珠のような純白の雲を供にして、
その“神威岩”は、余りにも神々しく雄大で、
本当に、神秘的としか表現できないような姿で現れたのです。


ここまで来る間のかいた汗が、一瞬のうちにサーッと引き、
思わずひざまずきたい衝動に駆られたのです。


数人の若者達も無言でその神なる岩と対峙しています。
海面からほんの少しだけ盛り上がった、
水平な岩の上に矢じりの形をした岩が天に突き出ています。

本当に何万年かかかって
打ち寄せる波がこのような形にしたのか分かりません。

最初にこの岩を発見し“神威岩”と名づけざるを得なかった、
アイヌも人達の感動と畏敬の念は、
きっと、今の私と変わらないのではないかと思われました。


正に“神の作りたもう芸術品”なのです。


 『汗が引き 鳥肌立ちし 神威岩
                神が作りし 芸術品』

 『先達の アイヌの人の この岩に
                かける思いは 今も変わらず』

 
★データ
(走行距離)百九十七キロ
(入浴温泉)鶴亀温泉




                   (”北海道身勝手一人旅”目次へ







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