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2008.02.07 (Thu)

【一人旅】 六の五 女性ライダーを追う“野付岬”

六の五 女性ライダーを追う“野付岬”           八月二十三日



 『紺碧の 海を左右に 従えて
               バイクを飛ばす 赤いライダー』

 『恋人の 背中をみつめ こぐペダル
               これから築く 人生しかり』

 

お父さん達、いま私は、北海道温泉巡りで最も楽しみにしていた、
知床周辺の温泉、特にカムイワッカ温泉にも入ることができ、
少し虚脱状態に陥っています。

知床という自然の宝庫にきていて温泉に入った以外は、
どこも立ち寄らず素通りしていま羅臼にきています。

雨や濃霧のせいとはいえ、
知床の大自然をほとんど味わっていないため、
さすがの私も、もう一日この羅臼に留まろうかと思いました。

しかし、この雨がやむ保障は何処にもありません。
あと数日後、家族と再度この知床を訪れる際、
天気に恵まれることを期待して、知床を離れることにしました。

 「本当にお前の“身勝手一人旅”は、温泉オンリーだな。
  それでは、知床に行ってきたとは言えないだろう」

でも、知床五湖へは立ち寄ってきましたよ。

 「知床五湖だけでは、知床の大自然のほんの一部だろう」

しかしお父さん達、弁解になるかもしれませんが、
ガイドブックにも書いてある通り、知床の本当の素晴らしさは、
山道を歩かねば行けないような所にあるらしいですよ。

とすれば、私も大多数の知床観光客と同じコースを車で通ったのですから、
一応知床には行って来たことにはなりませんか。
ただし、観光地を通っただけ滞留はしてはいませんが。

それでも、こんな弁解をしなければならないくらい、
温泉巡りだけの旅行であることだけは確かです。


八月二十七日、千歳で家族と合流するまで、あと四日となりました。

これまで、北海道の主な温泉は既に入浴し、
残りは点在する道南の温泉を回るだけとなりました。

これから走らねばならない距離と入浴できる温泉の数を考え、
知床でのんびりする案も考えました。

しかし、根室の納沙布岬と襟裳岬を訪れないのは、
北海道旅行で画龍点睛を欠く気がして、
宗谷岬同様、その地に行くという目的のためだけに、
車を走らせることにしました。


羅臼を朝八時に出発し、
野付半島に足を伸ばし、根室の納沙布岬を回り、
釧路の北約三十キロの茅沼温泉に着いたのが夜の八時、
四百五十キロ走りに走りました。

北海道に来てから一日に走った最長距離です。
“身勝手一人旅”だからこそ誰にも文句を言われずに
こんな無謀なことが出来るのでしょう。


北海道は広い。
羅臼であれだけ降っていた雨も、途中の標津町に来た頃には上がり、
久しぶりの真夏の太陽が顔を出すようになりました。

国道335号線を走っていると、
“国後国道”と名づけられている海岸線の彼方には、
手の届くくらいの近さに薄っすらと国後島が見えるのです。

北方領土返還の看板がいたるところに掲げられています。

これまで北方領土のことなどは、
正直他人事でほとんど関心が無かったのですが、
ここに来て始めて、この問題に寄せる人々の思いが、
少しは分かる気がしました。

過去祖先や皆が住んでいた故郷を
目と鼻の先に見ながら毎日生活しているのです。
早く返せと叫びたくなるのも当たり前だと思いました。


標津町の食堂で昼食を取りながら、道路マップを見ていると、
直ぐ近くに、鯉の髭のような形をした野付半島が目に入りました。

車に戻ってガイドブックで確かめると、
釧路原野を360度見渡せる開陽台と並んで、
ライダー達が必ず立ち寄るほどの有名スポットらしいのです。

開陽台の方は、ライダー達の憧れのスポットですが、
車の私には少し場違いなので、
この野付半島に行ってみることにしました。

それにしてもお父さん達の指摘ではないですが、
北海道に行くのに、温泉以外の観光地について、
何も調べずに来た私は、やはり変わり者なのでしょうね。

 「お前、昼食をそこで取らなければ、
  開陽台や野付半島を通り過ごしていたのか」

そういうことになりますね。

 「これまで、一月余りお前の温泉巡りの話に付き合ってきたが、
かなりの観光スポットを見逃してきたのだろうな」

お父さん達、そんな恨めしそうな声を出さないで下さいよ。
その代わり、毎回お父さん達には、
“非日常的体験”を味わってもらっているでは有りませんか。


野付半島は、根室海峡に細長く突き出た半島です。
ここがライダー達に人気があるのは、
半島の先が幅百メートルにも満たないくらい狭くなっており、
両側が海というどこまでも続く直線道路を走れるからなのです。

左手にはオホーツク海の荒波が、
テトラポットで打ち砕かれて波しぶきを舞い上げています。

右手には、真夏の太陽でキラキラ光り輝く
穏やかな野付湾の内海が広がっています。


海岸線というより“海の中”を走ると言ったほうがふさわしい所を、
ヘルメットから無造作に束ねた長い黒髪をなびかせながら、
細身の身体に赤い皮ジャンを着た女性ライダーが駆け抜けていきました。

その瞬間、ギアをトップに入れ彼女を追いかける白いクーペ。
ライトブルーの空の下、どこまでも続く真っ直ぐな“海の道”。

まるで映画のシーンでは有りませんか。

このシーンを見ている限りは、
誰も、やかんや布団などの生活道具を積んだ、
空冷短パンルックのおじんが、
黒髪の女性ライダーのお尻を追いかけているとは思わないでしょう。

 
 『紺碧の 海を左右に 従えて
              バイクを飛ばす 赤いライダー』



細身の女性が、自分より一回りも二回りも大きいマシーンを
自由に操り疾走する姿は、格好が良いものですね。

昨今、女性の時代と言われていますが、
今回の旅行中もこうした一人で
北海道の大自然を駆け巡る女性ライダーに何度も出会いました。


女性ライダーのお尻を追いかけ、思わぬ寄り道をしてしまい、
根室の納沙布岬に着いたのは、三時過ぎになってしまいました。

“本土最東端”
なんとなく語呂が良くありませんが、
記念碑にそう書いてある納沙布岬は、猛烈な風です!

根室名物の花咲きカニを売る土産物屋の軒先の小旗が、
今にもちぎれて吹き飛んでいきそうです。

空冷短パンルックの私のラジエータは、
この強風で空冷が効きすぎて極小サイズに縮み上がっています。

歯舞・色丹諸島を見ることは出来なかったのは残念でしたが、
この地に立ち寄れただけでも良かったと思いました。
なにせ“本土最東端”という記念の場所ですので。

真夏のこの時期でもこんな状態なのですから、
真冬の岬は、想像を絶する所だろうと思ったとき、
東京の飲み屋でバイトをしている娘の言葉を思い出しました。

私が、田舎が好きで、休みのたびにストレス発散を兼ね、
自然を求めに出かけると、その娘に話したところ、

 「田舎のことは何も分かっていないのね。
  そんなに田舎が好きなら、そこで暮らしてみたらどうですか」

と、お店では明るく振舞っているその娘が一言ポツリ。

その時は何も感じなかったのですが、どこか頭の片隅に残っていたらしく、
旅行に出て“田舎”に来るたびに、その言葉が浮かんでくるのです。

私達は、たまに旅行して、
ああ素晴らしい景色だ、雨が降って嫌だな、
などと気楽な感想を述べて“通過”するだけなのです。

その“田舎”で、子供時代を過ごし、
毎日、テレビに映し出される都会の生活を見ながら、
いつか、“田舎”を出て行こうと思い続けていた娘。

新潟県と群馬県の県境の田舎に育ち、
いま東京の飲み屋でバイトをしているその娘の言葉が、
この猛烈な風の中、
黙々と働いている人達からも聞こえてくるような気がしました。


納沙布岬を後にし、釧路に向かう途中、
若者のカップルが自転車で走っているのを目にしました。

自転車の車輪の両サイドに一杯荷物をつけていることから見ても、
日帰りの旅行者でないことは確かです。

今回の旅行中、カップルでバイクを連ねて走っている姿や、
一人で自転車やバイクで旅行する女性の姿は何度となく目にしました。

しかし、今日のような若いカップルのように、
自転車を連ねて旅行している姿を見たのは初めてでした。

 「どうせお前のことだ、追い抜きざまにその娘を見て、
  顔の良し悪しを話のネタにしようと言うのだろう」

さすがお父さん達、と言いたい所ですが、
ちょっとお父さん達の思っているニュアンスとは違う話をしたいのです。


当たり前のことでが、自転車は車やバイクと違って
自分の足でペダルをこいで走らねばなりません。

女満別湖で高二の学生と焼肉を食べたとき、
何で好き好んでこんな辛いことをしているのかと何度も思った、
と学生が話をしたことを覚えています。

いくら若いからといっても、自転車での北海道旅行は
相当の覚悟が要るはずです。

カップルの彼の後ろから必死にペダルをこぐ彼女の様子が、
追い抜きざまに見て取れました。
良い顔をしていました。

現代の独身女性が、
相手の男性に求める結婚の条件がどのようなものかは分かりませんが、
仮にその条件を満たす男性から、

 「テントを持って自転車で北海道旅行をしないか」

と誘われたら、はたしてその女性はついてくるでしょうか。

お父さん達も一度職場の独身女性に聞いてみたらいかがでしょうか。

 「ヤーダー、そんなダサイこと」
 「私なら、絶対車とホテルでの宿泊に変えさせるわ」
 「私の選んだ彼は、そんなこと言うわけがないわ」
 「そんなことを言う彼なら、私のことを思っていないのよ。
  条件が良くったって直ぐ別れるわ」

と言ったところが、平均的な答ではないでしょうか。

結婚の条件を満たす男性を捜す彼女らは、
自分を磨くためにどれほどの努力をしているのでしょうか。
磨くのはせいぜい自分の見た目の容姿くらいでは。

男性もしかり。
格好を気にする若者が、都会のあちこちで見かけますよね。

自分に自信がなければ、彼女をテント生活の、
しかも自転車旅行に誘えるわけが有りません。

四畳半一間のアパートに住みながら
高級車のアクセルを踏むことは出来ても、
資格取得等自分を磨く資金を溜めるため、
坂道を自転車のペダルをこぐ力はとても無いでしょう。

今日の若いカップルも、旅行中、
楽しいことばかりに出会ったわけではないと思います。

いま、こうしてカップルで必死にペダルをこいで目的地に向かう。
彼は彼女を見守り、彼女は彼の背中を見て付いて行く。


 『恋人の 背中を見つめ こぐペダル
                これから築く 人生しかり』

 若いカップルに幸あれ!


★データ
(走行距離)四百四十八キロ
(入浴温泉)標津温泉・川北温泉・尾岱沼温泉・茅沼温泉





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